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Guicho Zurdo:千年帝国の野望~「Hearts of Iron・Ⅱ」のリプレイ(その10) 

経過はコチラにて。

※同時進行の戦線が複数ありますので、時間軸が多少前後する場合があります。


逆襲の黒猫ポンセ~1943年8月1日(1936年1月1日 ※黒猫暦

ぎ印ドイツ帝国がスイスを併合してしばらくの後、帝国総統Guicho Zurdoはふとあることに気がついた。イタリアめがやけに元気なのである。
史実であらば既に逝く先々でこてんぱんにやられ、もはやバンザイ寸前な頃合のはずだ。ところが今そこにあるイタリアはブルガリア侵略こそ失敗に終わったものの、それ以外はさしたる失点もなくのうのうと存在しているのである。ムッソリーニめも健在で今なお国家元首の地位に留まっている。これはいったいどういうことなのだろう。Guicho Zurdoはローマ周辺からエチオピア方面にカーソルを移動しつつしばし沈思した。

…そうか。そういうことか。偉大なる総統閣下はすべてを悟った。もはや歴史は大きく変わりつつあったのである。ぎ印ドイツ帝国が欧州を席捲し、イギリスの本陣を潰してしまった結果、イタリアを叩く相手がいなくなってしまったのだ。だからイタリアは拡大した領土をひとつも失うことなく、この戦乱の世を他人事のように謳歌しているのである。

ぬう、イタリアめ。Guicho Zurdoはいまいましげに呟いた。しかしその腹立たしさはすぐ解消した。待てよ、ということはだ…。

Guicho Zurdoはアフリカ大陸から東方へとカーソルを這わせた。中東を越え、ぎ印ドイツ帝国軍がじわじわと進軍するインド戦線へ。その最前線であるラングーンとその周辺プロヴィンスには未だブラッドレー率いるアメリカ軍が孤軍奮闘しているのだが、その反対側から迫りつつあるは日本、満州、シャム(現タイ)の極東枢軸軍勢であった。アメリカ軍は両勢力に挟まれまさに孤立状態にあった。総統閣下はそれを確認するとにんまりと微笑み、さらにマウスを東へと移動させた。インドネシアには宗主国であり、欧州の本陣を失ったオランダが風前の灯の如く残されたわずかなプロヴィンスで細々と存在していた。その周囲には極東枢軸軍の駐留部隊が展開し、その気になればいつでもオランダの息の根を止められる状態にあった。さらに東方の諸島群はことごとく日本の支配下にあり、その先端はニュージーランドに迫らんとする勢いであった。そして北に目を向ければ、フィリピンも着実に包囲されつつあり、マッカーサーの「I shall return」の屈辱声明は時間の問題であった。

確かに時間の問題ではあるが、陥落の引き換えに伴う犠牲は看過できんな。Guicho Zurdoはビルマ、フィリピンで奮闘するアメリカの名将の写真を改めて眺めやった。楽には勝たせてくれんわな。どうしたものか…。やがて総統閣下はひとつの結論を導き出すと、今度はマウスを中国大陸へと這わせた。かの地は毛沢東の共産党、蒋介石の国民党はもちろんのこと、シーベイサンマ、ユンナン、広西軍閥、シンチヤンといった軍閥が跋扈するアフガニスタン状態であった。そしてそれらが各所で大日本帝国の進軍を食い止めんと抵抗を続けているのである。国共合作のイベントは発生していないのだろうか。戦略マップを見る限り、共産党と国民党の勢力圏は分断され、彼らは各個での抵抗を余儀なくされているように見受けられるのだが。
釈然としないまま、Guicho Zurdoは視点をさらに北へと移した。かつてソビエト連邦だった東部1/3の地域が大日本帝国の領土となっている。

世界はこうも変わるものか…。総統閣下は感慨深げにつぶやいた。あるいは日本はアジアの覇者になれるのかも知れんな。

その時、執務室の扉が開き、息を切らせたゴルビ犬が飛び込んできた。いったい何事かと訝る総統閣下の視線に犬は威儀を正し、報告した。
「ノックもせずに申し訳ございません、閣下。危急のご報告がございまして」
「どうした」
「カール・ポテンテが総統補佐官に就任いたしました」
「そんな奴は知らねえ」
「黒猫ポンセの変名です。ブラジルに移民したドイツ猫の子孫という設定でそれっぽい名にしたようです。彼奴はヒトラーの軍事担当補佐官としてドイツの歴史を塗り替えんとしています」
Guicho Zurdoは思わず立ち上がっていた。その振動でモニターの上に飾ってあったザクのミニチュアが倒れ、構えたバズーカが虚しく天井を向いた。
「猫めはソ連でプレイするのではなかったのか!」
「遺憾ながらドイツであります、閣下」
「ええい、すぐに猫めをひっ捕えい!」
「もう間に合いません。既に彼奴の総統補佐官就任演説がはじまっています」
Guicho Zurdoはあわててラジオのスイッチをひねった。雑音の彼方から黒猫ポンセ、今はカール・ポテンテを名乗る猫の声が流れた。

…り、この国が立ち上がり、すべてのドイツ民族が幸せに暮らせる国ができる日がいつか来るという夢なのだ。
私には夢がある。ヴェルサイユ宮殿の鏡の間で、かつての敗戦国民とかつての敗戦国民に隷属を強いた者が対等に同じテーブルにつく日が来るという夢が。
私には夢がある。搾取と抑圧の熱がうずまくラインラントでさえ、自由と正義のオアシスに生まれ変わり得る日が来るという夢が。
私には夢がある。ダンツィヒに暮らす子ども達が、話す言葉ではなく内なる人格で評価される世界に住める日がいつか来るという夢が。
私には今夢がある!人種差別主義者や州知事が中央政府の干渉排除主義を唱え、ドイツ系住民を弾圧しているズデーテンラントにさえ、将来いつか幼いドイツの子ど…


ぎ印ドイツ帝国総統Guicho Zurdoは突然ラジオを床に叩きつけた。裏蓋が吹き飛び、中の乾電池が跳ね踊って恐怖に震えるゴルビ犬の足元に転がった。
憤怒の総統閣下は沈黙したラジオに向かって吼えた。

「何を言うか!わしに干されて逃げ出した負け猫が、何を言うのか!」


―――もうひとつのドイツ~ニュルンベルク・ナチ党大会会場

割れんばかりの拍手と地鳴りをも引き起こさんとする大歓声に包まれ、就任演説を終えたカール・ポテンテ、かつては黒猫ポンセと呼ばれた猫は改めて10万にも及ぼうかという大観衆を見やった。大いなる喝采と熱狂が渦巻く中、ポテンテは“カリスマ”とはいったい何かをその肌で感じ取るのだった。同時に、己が内側から湧き上がるような気持ちの高ぶりを覚えた。これが自己陶酔ってやつか。ポテンテは、自分に酔いしれている自身に驚いていた。
「大衆の扇動」、これも“政治力”のひとつなのだろうな。カール・ポテンテは内なる興奮を巧みに覆い隠しながら階段をゆっくりと降りた。まだ膝が震えているのに気付き、彼は苦笑した。

舞台裏に回り、いくらか落ち着きを取り戻した頃、ひとりの兎がぐつぐつ煮立つコーヒーを手にポテンテの元に歩み寄った。
「ポテンテ補佐官、見事な演説でした。さぞお疲れでしょう。喉を潤されてはいかがです?」
猫舌のポテンテは激しく湯気立つコーヒーに一瞬たじろぐが、美兎からのコーヒーの申し出を断る理由はない。彼は意を決し、熱湯コーヒーを口にした。
涙と悲鳴を力の限り堪え、ポテンテは兎にやさしく微笑んだ。
「ありがとう。君は?」
「ニナ兎(うさぎ)と申します。総統官邸付の秘書官をしています」
「訛りがあるな。どこの出身かね。オーストリアか」
「モンテネグロですわ、補佐官」
「そうか。覚えておこう」
「それよりも補佐官、言伝があるのですが。折り返し連絡が欲しいという」
「誰からだろう?」
答える代わりに、秘書官ニナ兎は一枚の紙片を渡した。
「これを読めばわかると。ご存知ですか?」
その紙にはこう書かれていた。

「鳴かぬなら 鳴くまで脅そう ホトトギス」


うんざりしたような表情で補佐官はうなずいた。
「よく知ってるよ。夢の代わりに野望だけは豊富な男だ。コーヒーありがとう。失礼する」

ポテンテは控え室に戻ると、ぎ印ドイツ帝国総統、かつては自分が仕えていた独裁者の元にダイヤルした。ほどなくして耳慣れたがなり声が電話口に出た。
「どこの馬の骨だ?」
ポテンテは暗澹たる思いになった。俺はこんな男の御側にいたのか…。彼は気を取り直し、Guicho Zurdoに話しかけた。
「お久しぶりです、閣下。ポテンテです。カール・ポテンテ」
「そんな奴は知らねえ」
ポテンテは辛抱強く返答した。
「黒猫ポンセです、閣下」
「ふん、戦力外通告された自由契約猫が今さらわしに何の用か」
やはりこの男は我慢ならん。ポテンテは先ほどの興奮とコーヒーとはまた違う熱い何かが身体を巡るのを感じた。
「何の用かって、連絡をよこせと言ったのはあなたでしょ!」
総統閣下の挑発は止まなかった。
「うわっはっはっは。それがいかんのじゃ。そういう短気が身を滅ぼす元になるんじゃ。カッカするとだな、周りが見えにくくなるんじゃ。冷静な判断力が失われるんじゃ。そして敵はその心の間隙を衝いてくるんじゃ。国政を司る者、大きな心と器を持たんといかんな君」
イライラを抑えつつポテンテは答えた。
「あなたに言われたくないですね。嫌がらせが目的ならもう切ります」
「まあまあ怒るでない。本題に入ろう。お前の就任演説の件について」
「なんです?」
「あれはパクリだな。キング牧師の演説のパクリだ。それもほぼすべてがだ。お前はわしの耳をごまかせるとでも思ったのか」
「私もパクリだってちゃんと明記してるでしょ!言いたいことはそれだけですか?」
「まだある。お前はわしに倣ってスペインとの同盟を画策しておるな。さらにはトルコとの同盟も目論んでるはずだ。そうだ、わしは何でも知ってるのだ。わしは『パパは何でも知っている』のパパよりも何でも知っ…」
ガチャ。ポテンテは受話器を戻した。聞くに値せぬ。

カール・ポテンテの高揚感はいつの間にか胡散霧消していた。


戦略大作戦~1943年9月2日-16日

9月初旬、アフリカ戦線ではカサブランカ発のアフリカ南部侵攻軍が海路伝いにリベリアを急襲。2週間後、首都モンロビアで同国軍は壊滅し、リベリアは降伏した。連合国の一翼がまた崩れたのである。
ぎ印ドイツ帝国軍の次なる侵攻目標は宗主国ベルギーが欧州を追われて逃げ込んだコンゴ地域、そして南アフリカだった。

アフリカもそうだが、こっちもどうにかせにゃならん。そう言いながらGuicho Zurdoは戦略マップを開き、ビルマ周辺を指差した。その一帯はまだブラッドレーのアメリカ軍が頑強に抵抗を続け、ぎ印ドイツ帝国軍は一進一退の苦戦を強いられていた。
総統閣下は今度はカーソルをやや東に移動させ、シャムとベトナムをズーム・アップさせた。そこには相当数の日本軍、満州軍、並びにシャム軍の軍勢が駐留している。
「彼らの協力を仰ぐ時が来たようだ」
ゴルビ犬は総統閣下が言わんとするところをすぐに解した。
「…つまり、日本と正式に軍事同盟を結ぼうと」
「うむ。ラングーンのアメリカ軍めを崩すにわれらの侵攻軍だけではやはり困難。日本の軍事協力は不可欠だ。ついでに満州とシャムのもな。東西両雄総がかりで攻めればさしものブラッドレーも耐えられまい」
「ラングーンが陥落すればビルマ一帯は抑えたも同然。反対側からは極東枢軸軍がベトナムまでを抑えている。よってこれで東南アジア地域は制覇、と」
「そういうことだ」
「しかし閣下、日本との軍事同盟はメリットだけでは収まりますまい」
「中国の件か」
「はい。新たなる敵が増えることもそうですが、対ソ戦に負けず劣らずの広大な戦線を前にすることになります」
「しかし中国の軍閥どもはソ連ほどの軍事力を持ってるわけではない。…国民党あたりはわからんがな。あれのバックにはアメリカめが付いておろうて」
「共産党も侮れない存在かと。日本軍も攻めあぐねているようですが」
「もはや弱体化したソ連の支援はなかろう。しかし裏で何かつまらん真似してるようであらば、…それはそれでいい口実になる」
抜かりないゴルビ犬は再び総統閣下の言わんとするところを解した。
「あるいは日本との軍事同盟の真意はそこにありましたか」
総統閣下は犬の賢さににやりとした。
「その暁には二大巨頭による壮大な挟撃作戦になろうて。だがわしは休戦協定はちゃんと守るよ。寝首を掻くようなことはせん。だが協定の期限が切れた後はその限りではない」
ゴルビ犬は中央アジア地域に目を向けた。ゴルビスタン帝国建設の夢もさほど遠い先ではなさそうだ…。
そんな犬の夢は総統閣下の声で現実に引き戻された。
「もうひとつ、見てもらいたいものがある」
そう言うとGuicho Zurdoは技術開発の画面を開いた。
ゴルビ犬はその画面にしばらく目を凝らし、やがて気付いた。
「閣下、これは…」
総統閣下は再びにやりとした。
「遅ればせながらわが帝国にもおひとつ、というやつだ。まだ時間はかかろうが」
「間に合いますかね?」
「戦争が終わるまでにはな」
総統閣下はそう言いながら、ハイゼンベルグとフォン・ブラウンの両博士が急ピッチで進めている研究分野に目を向けた。このふたつの科学の粋がひとつになった時、ぎ印ドイツ帝国は真の神の雷を手に入れることになろう。

総統閣下はモニターに腹黒い微笑みを投げかけるのだった。


やっぱイタリア抜きでやろうぜ!~1943年10月12日-12月10日

1943年10月12日、ぎ印ドイツ帝国と大日本帝国の間で軍事同盟が正式に締結された。東西の二大帝国が正式に手を結んだ瞬間である。日本のお付きの満州、シャムもそこに加わった。
軍事同盟の締結と同時に、ぎ印ドイツ帝国は中国大陸の各軍閥に宣戦布告し、インド、ビルマ北部に駐留していたぎ印軍団は一斉に中国領内に侵攻を開始した。
ここに、新たなるカオスが生まれたのだった。1943年10月13日現在、ぎ印ドイツ帝国を取り巻く情勢は以下の通り↓

ぎ印枢軸国:ぎ印ドイツ、スペイン、ハンガリー、ルーマニア、アイスランド、ノルウェー、アイルランド、エストニア、リトアニア、ポーランド、ロシア、グルジア、ベラルーシ、日本、満州、シャム
連合国:イギリス、フランス、オランダ、ベルギー、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、フィリピン、コロンビア
その他交戦国(組織):中国(国民党、共産党)、シーベイサンマ、ユンナン、シンチヤン、広西軍閥


戦いの業火がさらなる拡大を見せる中、ぎ印ドイツ帝国の技術・研究開発セクションは11月10日、そして12月10日に理論的大躍進を遂げた。

「秘密兵器」の扉が開いた瞬間であった。

つづく。
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