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Guicho Zurdo:千年帝国の野望~「Hearts of Iron・Ⅱ」のリプレイ(その14) 

経過はコチラ


スクラップ&スクラップ~2007年4月29日(黒猫暦:2007年4月22日

三度目のノックにも応じない総統閣下を不審に思ったゴルビ犬は、総統執務室の重い扉を恐る恐る開くのだった。部屋の明かりと仄かに熱気を帯びた空気が中から漏れ、それと同時に何やら金属的な薄い音色が流れて来た。いつにない雰囲気に犬は眉をひそめつつ、その異空間へと足を踏み入れた。見れば、ぎ印ドイツ帝国総統Guicho Zurdoはごついヘッドフォンをし、奇妙な形のギターを手に何やらピロピロ弾いている最中であった。
これでは聞こえんわけだ。ゴルビ犬は首を振り振り室内へと身体を滑り込ませた。偉大なる総統閣下は演奏に没頭し、入室者の存在にまるで気づかない。やむなしにゴルビ犬は執務室の扉を勢いよく閉めるのだった。屋内の淀んだ空気が揺らめき、モニターの上にぞんざいに置かれたSteinbergerの弦の袋がバラバラと床に落ちた。
ここでようやくGuicho Zurdoは異変に気づき、犬の存在を見て取るとヘッドフォンを外し、ピックを持ったまま「よう」と手を挙げた。ゴルビ犬はギターを抱えた見慣れぬ総統閣下の姿をしげしげと眺めやった。
「とうに引退されたと思ってましたが。今は撮影がメインと」
偉大なる総統閣下はヘッドフォンの圧迫で痛んだ耳を撫でつつ、にやりとした。
「わしのわらじは二足では収まらんのじゃ。で、音楽戦線にも晴れて本格復帰じゃ。弦は張り替え、エフェクターも新調し、ひとりレコーディング・システムも構築。これで安心、多い日も安心」
ゴルビ犬はぶっきらぼうな形の黒いギターから伸びるケーブルを辿った。それは床に置かれた、スイッチやらペダルやらランプやらが搭載された謎のプレートに繋がっており、さらにそこからはUSBケーブルが伸び、卓上のPCへと繋がっている。それは犬もはじめて見る代物であった。Vistaで新機を組んだとは聞いていたが、このためだったのか。かつてゲームをやるためにPCを組んでいた男が、今や音楽をやるためにPCを組み上げようとは。振り子のブレが大きいにも程があろうに…。
…待てよ。ということは。
急に不安に駆られたゴルビ犬は総統閣下に尋ねた。
「音楽も結構ですが閣下、リプレイの方はどうなっておりましょうか?かなり日が開いておりますが。トロピコの方も『建設予定地』の看板のままです。それ以前にここ2週間余、エントリーそのものが打率低下著しい状況下にあります。安定して上梓するは『Blogpet』だけというのは如何なものかと」
総統閣下は肩をすくめ、弦痕の刻まれた右手の指先を弄んだ。
「わしは今忙しいんじゃ」
「そうは言っても熱心な読者もおられるわけですし、そろそろ動かれた方が…」
「わかっとるよ。それはわしがいちばんよくわかっとる。書かぬとは誰も言っとらんわい」
「では、リプレイは近いうちに再開という認識でよろしいでしょうか?」
「トロピコもあるんだよなー」
「それも含めて近日再開という認識でよろしいですか?」
「うん。まあ、そんなとこだね。うん」
ゴルビ犬はそんな総統閣下の様子に何か違和感を覚えた。興味のベクトル以外の事象にはまるで関心を示さないのは前から知っている。しかし、犬の敏感な鼻はそれとは違う“何か”を総統閣下から嗅ぎ取っていた。
その違和感の正体を探るべく、ゴルビ犬は水を向けてみた。
「閣下、黒猫の動向ですが…」
「あとでいいよ」
おかしい。やはり何かがおかしい。
「いえ閣下、極めて重要なお知らせがあるのです」
「なんだね」
Guicho Zurdoは心ここにあらずという風であった。しかしそれは音楽に集中したいがゆえとはまた違う理由であろうことを犬は感じていた。いったい何だろう。ゴルビ犬は総統閣下を注意深く観察しながら言葉を継いだ。
「閣下、彼奴はまたセーブデータを破壊したのです。全部パアです。また最初からやり直しです。馬鹿過ぎます」
総統閣下は怒るでなし驚くでなし、ギターのトーンを弄りながらのんびりと言った。
「知っとるよ。大変だねえ」
「…まるで他人事ですな。何も意見表明されないので?」
「意見も何も、壊れてしまったものは仕方あるまい。わしが怒ったところでどうにもならんし、どのみち向こうの世界の話じゃ。わしには関係ないわい」
「彼奴の下手打ちのせいで歴史が微妙に変わっております。おかげでこちらの話とリンクした箇所も意味を成さなくなりました。関係ないで済ますわけにはいかぬと思いますが?」
「まあ、長いこと続けてりゃそういうこともあるさね」
ゴルビ犬は目を細めた。この偉大なる男はいったい何を隠しているのだろう。
「閣下、彼奴は生意気にもMODなんぞに手を出し、素人の分際でデータを弄ろうと目論み失敗したのです。閣下が大昔作られたMOHAAの『lefty's mod1.7』でも送りつけてやりましょう。『小僧、これ見て学習せい』と一文も添えて」
「まあまあ、人間誰しも間違いはある。いいじゃないか」
犬の目はさらに細くなった。
「…閣下、今日はやけに寛大ですな」
「前からそうだよ。実はわしは猫が大好きなんじゃ。ここで飼ってるのはなぜかウサギだけどな。世の中ってわからんねえ」
いよいよ怪しい。ゴルビ犬は総統閣下の秘密の内堀に踏み込むことを決意した。
「ところで閣下、ダルエスサラームに待機してる軍団の展開先ですが、もう決定されたので?」
「まだだね」
「ずいぶん長くに待機させてます。そろそろご決断すべき頃合いかと。…して、どちらへ?妥当なところでオーストラリアでも?」
「や、それは当分先の話になるかな。まあそんなに急ぐこともあるまいて」
「おかしいですな。先手必勝&電撃作戦が旨の閣下がなぜにそのような悠長なことを?」
偉大なる総統閣下はその質問には答えず、代わりにサングラスをかけ、ヘッドフォンを着けた。そしてやおら虚空を向くと、ポリスの「ロクサーヌ」を朗々と歌いはじめるのだった。今や疑念が確信に変わったゴルビ犬は総統閣下の片方の耳パッドを勢いよく持ち上げると、否が応でも聞こえるよう耳元で尋ねた。
「単刀直入にお伺いします。閣下、セーブデータを拝見したいのですが」
「はっはっはっは」
「閣下、セーブデータを見せていただけませんか?」
「うわっはっはっは」
「閣下、その馬鹿笑いは私の要請に応える術がないということで?」
「だーっはっはっは」
何たることだ。何たることだ!何たることか!!黒猫ドイツ帝国はおろか、ぎ印ドイツ帝国までもがセーブデータをスクラップ&スクラップとは。馬鹿過ぎる。ダブルで馬鹿過ぎる。ゴルビ犬は激しいめまいを堪えつつ、総統閣下に尋ねるのだった。
「…閣下、いったいなぜそのようなことに」
「いやね、エイリアン国家を出現させられるなんて聞いたもんだから、日付遡ってちょっとそれで遊んでみたんだな。挑んでは敗れ挑んでは敗れのいやー強いねえ、まではよかったんだが、その状態で最新データに上書きセーブしてしまっての…」
ゴルビ犬はため息を押し殺しつつ、わずかな可能性に光明を見出さんとした。
「最新でなくとも、直近ないしは数ヶ月前のデータは残ってないのですか?」
「ないね。多少なりともロード時間を短くせんと、無用なデータは逐次削除しておったんじゃ。うわっはっはっは」
犬は最後の望みにすべてを託した。
「…バックアップは?」
「そんなもんわしがやると思うか?」
「…思いませんな」
「うむ。そういうことじゃ」
哀れな犬の一縷の望みは一刀の下に絶たれるのであった。遠吠えを堪えながら、ゴルビ犬は健気に尋ねた。
「事情はわかりました。…して、今どこら辺なのです?」
「1942年の初頭じゃ」
ため息混じりに、犬は尋ねるともなしに言った。
「まったく同じ経過を辿ってることはあまり期待しない方がよいのでしょうな」
「このゲーム、同じプレイはないものと思え」
今や諦観の犬は静かに聞いた。
「では今度の歴史で、具体的に何がどう変わったのです?」
「まあ大して変わらんよ。欧州の主要地域はほぼ制覇。イギリスめとフランスめは欧州の本陣から叩き出したし、ソ連も講和という名の敗北にどうにか追い込んだ。前と違うのは、連合を寝返ったイラクがわしらと同盟、狂ったシリアとレバノンが連合どもと戦争状態かつわしらと友好。ラトビアとウクライナは早々に独立してわしらの軍門、あと日ソ戦は勃発せず、アメリカめがアイスランド&グリーンランドを占領統治、そんなとこじゃな」
ゴルビ犬は夢の「ゴルビスタン帝国」建設の日がはるか遠くに去るのを感じた。
「かなり違うようですが…。閣下、今後これまでの経過とどうやって整合性を出すおつもりです?」
「目標は同じじゃ。逝き着く先は変わらん。微妙になるのは日付けくらいじゃ。なので最新のリプレイまではこのまま変更なし。リプレイの続きはアフリカ大陸掌握以降となる。だから猫めのとことのザッピングも現行ままでよい」
その時、浮かぬ顔の犬の目がきらーんと光った。
「そういえば閣下、黒猫の件でもうひとつ情報が」
総統閣下は大仰に手を振り、犬を制した。
「まあ待て。今わしは曲の素案を録ってる最中なんじゃ。終わってからにせい」
偉大なるぎ印ドイツ帝国の総統は再びヘッドフォンを装着し、ギターのボリュームをゆっくりと上げるのだった。


黒い巨塔~2007年4月29日(黒猫暦:1940年10月19日

原則的にものぐさである総統閣下はミストーンもそのままに、すべてのトラックを1テイクで録り終えて早々にギターを放り出した。そして思い出したかのように退屈そうなゴルビ犬の方を振り向き、尋ねるのだった。
「聴いててどんな感じだったかの?」
「どうも何も、ここで聴こえるのは単音の薄い生音だけなのですが…」
「耳を澄ませば遥かなる神々の音色が聴こえてこよう」
「耳を澄ませば噛み合わぬ音色がかすかに漏れてましたな。その気になれば犬は耳がよいのです。ところで閣下、黒猫のもうひとつの件ですが」
「言ってみよ」
「“薔薇”から入電がありまして、彼奴に護衛が付いたとのことです。それも凄腕の」
Guicho Zurdoは片眉を上げ、犬を見やった。
「それは何者だ」
「国防軍から派遣された尉官クラスの人間のようですが、詳細は不明です。断片的に『枠』、『壁』、『鉄』、『山』、『拳』といったキーワードが散在してますが、これらが何を意味するかは現在のところ解明されておりません。加えて向こうの総統官邸内で盛んに『WAC』という略語が飛び交ってるようですが、関連は不明です」
総統閣下はデスクを拳で叩いた。
「ええい、“薔薇”はいったい何をしとるんじゃ」
「これでも期待以上の成果は挙げているのです。内部中枢までの侵入はさすがに無理難題ですからな。外堀で可能な限りの情報収集に徹するしかありますまい」
「むう、わしは『パパは何でも知っている』のパパよりも何でも知ってるが、護衛の話は初耳じゃの。…ふん、猫め。グラスゴーの一件で怖気づきおったか」
ゴルビ犬は小さくかぶりを振った。
「いえ、それとは別件のようですな。確証はないのですが、どうも彼奴は誰かに命を狙われてるようなのです」
「わしは命までは取らんわい。沸騰コーヒーでヒーヒー言わすくらいじゃ」
犬は再びかぶりを振った。
「閣下以外の誰かにです。これまた正体その他すべてが不明ですが。ソ連からの刺客も考えられますが、推測するに身内の人間に狙われてるのではないかと…」
総統閣下はしばらくの沈思の後、やがて口を開いた。
「現状、猫めに強力な護衛が付いてる以上、コーヒー・テロの実行は厳しいと」
「そういうことになります」
「しかし奴の護衛はわしの魔の手ではなく、別のヒットマンを警戒してると」
「仰せの通りであります」
「ということは件の護衛の注意は別方向を向いとるわけで、わしらの付け入る隙はまだあるということじゃな」
「はあ」
偉大なるぎ印ドイツ帝国の総統は、社長椅子にふんぞり返ると高らかに宣言した。
「これより1942年1月以降のプレイを再開する。リプレイ日時の失地回復に至るまでに、猫めへの嫌がらせの方法も考えるとしよう」
総統閣下はマウスのカーソルをHoI2のショートカットまで滑らすと、素早くクリックし、ゲームを起動させるのであった。

つづく。

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コメント

敵か?これがわしの敵なのか?

神の見えざる屁は思わぬ角度から放たれる。突破して進ぜよう。

はい、宅録とやらはじめました。

911の後日に行ったというライヴ録音で初めて聴いてロクサーヌいいなと。

Vistaで音楽用機とは、宅録開始!?

現在の状況下の脅威は【沸騰コーヒー】と理解し、脅威はこれを無力化し排除いたします。

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