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Guicho Zurdo:千年帝国の野望~「Hearts of Iron・Ⅱ」のリプレイ(その18)  

経過はコチラ

焼け石に水のガイドブック:「千年帝国の歩き方(微妙に更新)

※リプレイはいったいどこへ逝ったのだという至極真っ当なご指摘について、今の私に答える術はないw


ゲシュタポ・feti虎~黒猫暦:1941年1月6日

もうひとつのドイツのゲシュタポ(秘密国家警察)長官、ハインリヒ・ミュラーとの対決から1週間後、feti虎教授はケンピンスキー・ホテルのプレシデンシャル・スイートに篭り、まる一日をかけて「カール・ポテンテ嫌がらせ作戦」の立案に費やした。直接攻撃は困難とわかった今、作戦はポテンテのアパートでの工作活動に絞られる。その具体的な内容はさほど時間をかけずしてまとまったが、問題はどうやってアパートに忍び込むかであった。feti虎教授はふかふか高級ベッドに寝そべりながら、長い時間熟考した。
屋上からロープを伝って降下するという方法は早々に却下された。教授は教授であって軍人はない。そんなスプリンター・セルもどきの手法を採ったところで、途中で手を滑らせて転落するか、下から発見されてパチンコ玉で尻を撃たれるかのどっちかだろう。チャーミングなお尻を危険な目に遭わすことだけは何としてでも避けねばならない。
では玄関の鍵をこじ開けての浸入はどうか。feti虎はサイドテーブルに置かれたバッグを漁り、ゴルビ犬から渡された「馬鹿でもよくわかるピッキング入門」という小冊子をパラパラとめくった。そこには先の折れ曲がったピンセットのような工具を用いての鍵の開け方が懇切馬鹿丁寧に解説されていた。なるほど、私でもできそうだ。…しかし、この支那の窃盗団的なやり方は私の性に合わん。それに侵入はともかくとして、出る時はどうやって鍵をかけ直すのか。feti虎は冊子をサイドテーブルに投げ出すと、仰向けになって天井で燦々と輝くシャンデリアをぼんやりと見つめた。

…そうだ。

アイディアは唐突に湧き上がる。feti虎教授はふかふかベッドからむくりと起きると、空き時間の暇つぶしにと持ってきた画材を広げ、銀メッキの施された金属製の絵皿を取り出し、宙に掲げ見た。大きさ的には手頃だろう。feti虎は絵皿を床に垂直に立たせて押さえると、工具箱から持ち出したハンマーでその淵をカンカンと叩きはじめた。時折ひしゃげた絵皿の裏を叩き調整しつつ、最終的にはそれをどうにか楕円形に近い形に整えることができた。その作業が終わると、今度は絵皿の底にペンで逆さ文字をていねいに書き入れ、ノミとハンマーでコツコツと書いた文字をなぞり打ちはじめるのだった。
文字の打ち出しが終わると、楕円形になった絵皿の端の部分をノミで打ち抜き、穴を開けた。そして仕上げに全体をやすりでざっとこすり、目的の品はついに完成した。それは偽のゲシュタポ身分証であった。feti虎は生まれ変わった絵皿のわれながらの出来に満足しながら、それを再び宙に掲げ見た。

“GEHAIME SHUTAATSUPORITSUAI 2627”

…何かスペルが違うような気がする。しかしまあ相手はじっくり検分する余裕などなかろうし、これでよかろう。
次にfeti虎教授は、結局使わずじまいだった自前の茶色いキュロットと、乗馬用の長靴をバッグから取り出した。ドイツ軍の規格とは色も形も程遠いが、これもまあ大丈夫だろう。feti虎はキュロットと長靴を履くと、黒いショージャケットを羽織り、ドレッサージュハットを目深にかぶった。そして姿見の前に立った彼女は、鏡に映る自身を見据えながら、先ほど作ったゲシュタポの偽身分証をスッと出し、低い威圧的な声で言ってみた。
「ゲシュタポだ」
…うん、なんとか通用するかな。いや、通用してくれなきゃ困るのだ。


その翌日、ポテンテが出勤した頃合いを見計らい、feti虎教授は官公庁街にある彼のアパートを訪れた。ゲシュタポ・半端私服バージョン風な装いでアパートの正面玄関を抜けた彼女は、まっすぐ管理人室へと向かい、その扉をドンガドンガと激しくノックするのだった。
管理人室の扉の鍵が慌しく外される音を認めると、すかさずfeti虎は扉を乱暴に引き開け、管理人を押しのけながら室内へと踏み込み、何事かとうろたえる主の鼻先に偽のゲシュタポ身分証を突きつけながら言った。
「ゲシュタポだ。ゲシュタポのユーロン捜査官」
年老いた管理人は一瞬にして顔面蒼白になり、直立不動の姿勢をカタカタさせながらその場に立ち尽くした。恐怖に震え上がる老人は、feti虎のその微妙な格好のことや、本物のゲシュタポは自ら名乗ったりしないことまでは考え及ぶことができず、また、偽身分証の致命的なまでのスペルミスにもまるで気づくことはなかった。
いやいや恐ろしいまでの効き目だこと…。feti虎教授は強力な秘密警察パワーの恩恵に感謝しつつ、続けた。
「管理人、カール・ポテンテの部屋の鍵を出せ」
「ポテンテさんですか?あの方は政府の偉いお方と…」
「いいから出せ。ポテンテ総統補佐官には重大な嫌疑がかかっている」
「しかし…」
ゲシュタポの偽者は怯える老人にぐっと顔を近づけ、冷ややかに言った。
「管理人、これは正式な捜査であり、私はゲシュタポの権限の範囲内で要請している。鍵を出せ。さもなくばお前はダッハウ逝きの片道切符だ。その非協力な姿勢はそれに十分値する」
年老いた管理人は飛び上がるようにして脇の戸棚を開き、震える手で鍵束を取り出した。内心のほくそ笑みをひた隠しながら、ゲシュタポ・feti虎は神妙な顔つきで鍵を受け取った。
「もし本人が戻ってくるようなことがあったら電話で知らせて欲しい。協力に感謝する」
感謝の意を表するゲシュタポもまたいないわけだが、もちろん老いた管理人にそこまで考える心の余裕はなかった。

まんまとポテンテの部屋への侵入に成功したfeti虎教授は、リビングに出ると、その乱雑なテーブルを見てにやりとした。まあ男のひとり暮らしはこんなものなのだろうが、それにしてもわっくも一緒だろうに、何も言わないのだろうか。
テーブルの上には、何日前のかわからない飲みかけのコーヒーやビール缶がぞんざいに置かれており、その周囲には読みかけの書類やファイルが雑然と積まれていた。その山の一番上には裏返された5枚のトランプが不揃いに重ねられている。ポーカーか何かの途中だろうか。feti虎はそっとカードを順番にめくってみた。スペードのフラッシュだ。それは作戦の幸先のよいスタートであると受け取ってもよいのだろうか。
リビングを後にしたfeti虎は寝室へと入った。想像とは裏腹に、ベッドのシーツはまるでプレスでもしたかのようにピーンと張られており、折り目正しく畳まれた毛布が足元の位置に置かれていた。枕も測ったかのような位置にしわひとつなく鎮座している。どちらがやったかやらされたかは定かではないが、そこには現役の規律というものが見て取れた。
feti虎教授はふと、乱雑なリビングのテーブルとは対照的なその光景に違和感を覚えた。しばらく両者を見比べながらその意味するところを考えていた彼女は、やがて部屋の薄明かりの中で苦笑しながらひとりごちた。
「あらら。おねいさんはまんまと引っ掛かっちゃったと。…さてどうしましょw」
…罠には罠で返してやるかね。feti虎教授は浴室の方へと向き直ると、ゆっくりと歩み出すのだった。


Made in Korea~黒猫暦:1941年1月7日

誰か入ったな…。
ポテンテのリビングに足を踏み入れた枠少尉こと、ヴィルヘルミーナ・アンナ・クルマン少尉がそう思ったのは、特に根拠があるわけではなく、単に職業軍人としての長らくの経験から来る直感に過ぎなかった。しかしその直感というのは往々にして的中するものであり、大柄な護衛は後ろを振り向くと、コートを脱ごうとしているポテンテに向かって言った。
「お留守の間にお客さんが来たようだ」
総統補佐官カール・ポテンテ、かつては黒猫ポンセと呼ばれたその猫は脱いだコートを手に、眉を上げた。
「…刺客か?」
「あるいはね。しばらくそこにいて」
枠少尉はリビングの周囲をざっと見渡した。一見異常はないが、しかし…。少尉は乱雑なテーブルに歩み寄り、そこを検めると、自分の直感が正しかったことを知った。掛かっていたか…。
一見だらしのないだけの乱雑なテーブルは、実は枠少尉の仕掛けた巧妙な罠の宝庫であった。放置された缶やコップ、それも中身がまだ微妙に残ってたりすると、人は思わず手に取って覗いてみたり、つい匂いをかいでみたくなったりする。しかしひとたび動かしてしまったら最後、テーブルやカップに意図的に付けられた染みの環の位置がずれ、何者かがこの部屋を訪れた証となるのである。あるいは雑然と積まれているように見える書類群も、実は規則的な配列になっており、確実に原状回復させない限り、手に取った痕跡が残るようになっていた。
そして侵入者の形跡は、裏返されたトランプにあった。それも人の“思わず見たくなる”心理につけ込んだ罠であり、1枚めくればすべてのカードの位置がずれるよう巧みに重ねられていたのであった。
侵入者を確信した枠少尉は、寝室の様子を確かめた。寝具一式は朝と同様に整然と置かれており、しわひとつ見られない。こちらには来てないようだ。次に少尉は浴室へと目を向けた。浴室の扉はぴたりと閉じられていた。しかし、枠少尉はいつも微妙に開放しておくのである。それもまた“開けたら閉める”の心理を衝いた罠だった。そこか…。手をホルスターに掛けながら、護衛は静かに浴室へと向かった。
おそらくもう侵入者は去っているだろうが、枠少尉は念のためルガー拳銃を取り出すと、壁に身を寄せゆっくりと浴室の扉を開けた。人の気配はない。それでも少尉は慎重に顔を覗かせ中を確認し、確実に無人と判断してからようやく浴室へと足を踏み入れるのであった。
謎の侵入者が仕掛けたであろう罠の正体はおおよそ見当がついていた。枠少尉はシャワー口を浴槽に向けると、ゆっくりとそのバルブを開いた。
浴槽に放たれた水はしばらくすると温水になり、やがてそれは茶褐色に変色しながら恐るべき沸騰コーヒーへと変貌するのだった。
「補佐官、こちらへ」
芳醇な香りともうもうたる湯気を払いながら、ポテンテは浴室前に立ち、シャワー口から溢れ出る恐怖の沸騰コーヒーを眉をしかめながら見やった。
「…ニーナの仕業か?」
「どうだろね」
ポテンテは首を振りながら浴室から顔をそむけた。
「おーやだやだ。コーヒーは飲む気にならん。ビールにしよ。枠、どうだ?」
「あとで行くよ」
シャワーのバルブを閉めながら、枠少尉はどこか釈然としないものを感じていた。「シャワーから沸騰コーヒー」、あまりにも安直過ぎる。というか稚拙だ。こうもわかりやすい手が本気で通用すると思ったのだろうか。再びプロの直感が警鐘を鳴らしはじめた。もしこっちが罠だとしたら…。
「補佐官、冷蔵庫を開けるな!」
護衛の警告も虚しく、既にその時、ポテンテは無用心に冷蔵庫を開け放ってしまったのである。その扉が開くと同時に、内側に無数に張られたピアノ線がピーンと張り、その張力は先に結ばれていた縦置きの缶詰のフタを勢いよく一斉に外すのだった。そして、冷蔵庫いっぱいに敷き詰められた缶詰のその恐るべき中身が雪崩の如くポテンテに襲い掛かった。
すべては瞬く間の出来事であり、総統補佐官カール・ポテンテが最期に捉えたのは、「パパパパッ缶缶!!」という缶詰のフタが次々と開く音と、自分めがけて降り注ぐ茶色い液体と、同じ色の小さな固体の山であった。

ヴィルヘルミーナ・アンナ・クルマン少尉は勇猛果敢な女性兵士であった。しかし台所の凄惨な光景を前にした今、その足はすくみ、腰はすっかり引いていた。冷蔵庫の前で、カール・ポテンテ総統補佐官がどろどろした茶褐色の汁と、ぷよぷよした茶色の具にまみれてのたうち回っている。ポテンテを襲った缶詰のその中身は、ぐつぐつふつふつと沸き立ち、もうもうたる湯気を放ちながら何とも言えぬ強烈な匂いを発していた。何だこれは。何だこれは。何だこの気持ち悪いのは!
枠少尉は鼻を腕で覆い隠しながら、足元に転がっている恐怖の缶詰を手に取った。ラベルに商品名がハングル文字で記されていた。

“번데기”

多少ハングルの心得のある少尉は、その文字の意味を読み取り、愕然とするのだった。

번데기=ポンテギ

これが、ポンテギ…。枠少尉は恐怖の食品にまみれて転げ回る哀れな総統補佐官に目をやった。彼に降り注いだのは「ポンテギ」と呼ばれる、蚕(かいこ)のさなぎを醤油味に煮付けた罰ゲーム的朝鮮食品であった。しかもそれはただのポンテギではなかった。「沸騰ポンテギ・とろみ付」なのである。いくらなんでもひどすぎる。
これは、ぎ印の連中のセンスではない。…ではいったい誰が?
誰がやったにせよ、枠少尉が出し抜かれたという事実に変わりはなかった。完敗である。それは完膚なきまでの敗北だった。畜生、畜生、畜生!
激怒の護衛は手にした缶詰を床に叩きつけた。その弾みで、中に残っていた蚕のさなぎがポーンと飛び出し、天井に当たって跳ね返り、その下でもがくポテンテの口の中にポトリと落ちた。

再び長く悲しげな悲鳴が官公庁街をこだました。


向かいの建物の壁に寄り掛かりながら、そっと耳をそばだてていたfeti虎教授は、3階の窓から漏れるカール・ポテンテの悲鳴を聞き届けた。悪いねえロデニム…。feti虎はポテンテの部屋の窓に悲しげな微笑を投げかけると、夕闇の中へと静かに姿をくらました。


ショコラとモンブラン。怒れるふたりのゲシュタポ捜査官がホテル・アドロンのプレシデンシャル・スイートに踏み込んだ時、そこにあったのは「くまのプーさん」の絵本を広げたティガーのぬいぐるみであった。ここでようやく、彼らはこの1週間余、自分たちがずっと張り込んでいたのがもぬけの殻の部屋であることを知ったのだった。

つづく。

※参照:ポンテギ(成人指定・閲覧注意)

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コメント

デフォでガスマスクが要ということでよろしいでしょうか。

京城の明治町にあるABCマートの前でポンテギ屋がもうもうと煙を立てて営業しているのを見たことがあるが、あれは近隣の店の営業妨害だと思いまつた。

そんなにひどい代物なのかw

まあ、ホンオフェくらうよりマシじゃね?




私も露店のポンテギ屋の半径1メートル以内には近寄れんけど。

しかしとろみ付きとはw

ポンセ、引っ越し決定。ポンテギは臭いだけで吐く。

畜生、畜生、畜生!

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